【短編】ワナビな僕ら (ページ2)

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「キミさ、なぁんか騙して来そうなツラしてるんだもん」

彼女の視線がカミソリみたいな鋭さを帯びた気がした。あるいは、眼が据わったと言うべきか。まあ、攻撃されるようなことがあればトぶようなおまじないをかけてあげればいい話だ。ボクは続ける。

「ウソとかギマンとか……そういうの、ボクにやることじゃないでしょ？」

彼女は「ははあ」と言って、舞台役者みたいな大げさな身振りで体をくねらす。

「残念です、異獨さんのようなお方にも参加してほしかったのに……またの機会にお会いしましょうね」

――作戦成功後にも、"貴方向け"のお楽しみはありますので。

片方の口角を意地悪に釣り上げて、軽巳亜は背を向けてしまった。朝焼けを通りすぎて明るい青を取り戻す空にヒールの音だけが響き渡った。

「……油断も隙もありませんのね？」

いや、音は止まった。あと1歩でも進んでくれれば、この鉤爪が刺さって先に塗っておいた液体が彼女の全身に回っただろう。

「ざーんねん、ハッピーが待ってたのに」

ちぇっ、と舌打ちしようとして、自分の舌が出たままなことに気が付いた。失敗失敗。

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快楽主義なハッピーヴィラン、しかし勘は鋭い男です。

シナリオ上、原本①に出すのは難しくてこのような形になりました。異獨ガブ、勘が良すぎて軽巳亜の悪巧みを余裕で見抜いてそう。その上でしっかりヤクの依存にさせようとする度胸もあり。魅力的なヴィランですね。