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大阪路地裏少年/zm ページ3

うちは、家庭環境がボロボロだ。

昼仕事に行って帰ってこない父親に、夜仕事に行って帰ってこない母親。

仕事って聞いてるけど、知ってるよ。
それぞれに恋人がいること。

愛してもらったことなんてない。
お小遣いもないから、バイトして、体を売って生きている。

そんな生活に嫌気がさした。

誰も信じれない。

逃げるように、新世界の路地裏へ足を進める。

真っ暗で、ごちゃごちゃしてて、
誰も私を見てなくて、
また、嫌気がさした。

そんな時ふと、通天閣の真下に、汚い塊が落ちているのを見つけた。

私と同じくらいの歳の少年。

痛々しいアザを抱えて震える彼が、なんだか自分と重なって、放っておけず、彼の手を握りしめた。

睨むように私を伺う彼の傷を、手持ちの絆創膏達でできる限り手当をしていると、彼が小さく、ゾム…と呟いた。

｢ゾム？｣

｢うん。俺の、名前｣

｢ゾム…私、A｣

｢A…Aかあ｣

私の名前を噛み締めるように何度も繰り返すゾムが立ち上がり、私の手を引いた。

｢この街、案内したる！手当のお礼！｣

ここが野犬が多いだとか、悪い人がよく歩いてるだとか、このゴミ捨て場はまだ食べれる物が捨てられるだとか…
偏った案内の果てにたどり着いたのは廃墟ホテル。

裏口から忍び込み、2人で埃っぽいベッドに寄り添う。

｢なあ、A…このままさ、ずっと…何年でも…2人で隠れてようや｣

潤んだ瞳で笑うゾムに、返事は出来なかった。

だって私は、

来週、

新宿に春を売りに行くから。