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甘苦い口/syp ページ21

今日は所謂お家デート。

いつもの流れならそのままご飯を食べて、泊まって。

幸せな2人の日常。

アルコールの香りが口を通り、蒸発する。

タバコの煙が鼻を通り、肺に響く。

色んなものが渦巻いているこの部屋の空気が好き。

ふと横を見ると、気だるげな横顔がある。

彼の口から零れる煙に胸が高鳴った。

私は、ショッピのことが好き。

好きだけど、好きだから、不安になることがある。

あと何回、この部屋に来れるのかな。

急に、玄関のドアすら開けてもらえなくなったらどうしよう。

ショッピが吸い終わったタバコを灰皿に押し付けるのを見て、さらに不安感が増す。

こうやって、タバコみたいに、捨てられたり、したくないな。

｢どしたん？A｣

黙り込む私に違和感を感じ取ったのか、隣に座るショッピが覗き込むように私を見る。

｢なんでもないよ｣

そう答えれば、頬に手を添えられ噛み付くようなキスをされる。

甘い口付けは、タバコで苦い味がした。

…この味が、好き。

私の心の隙間を縫うようなショッピの行動に、また恋情が溢れる。

こうしてまた、少しずつ、彼への依存が深まるんだ。

先程まで飲んでいたアルコールが血液中を回る感覚とともに。

肺の奥も、身体中も、ショッピでいっぱいに、汚されていくんだ。

くらくら。

頭の中が溶けてしまいそうな感覚に身を任せて、

私はそっと目を閉じた。

甘苦い口

この狭い部屋で、
君と僕の声だけ響く。
僕はいつでも、君を思っているから。
タバコの吸殻みたいに、
どうか捨てたりしないでね。