君と二人で半分こ/ci VD ページ32
本日、2月14日。
チーノとデートの約束をした。
手を繋ぎ、フラフラと町を歩く。
町はバレンタイン一色だ。
…まぁ。そんなの忘れてたわけだけど。
なるべくバレンタインの話に持っていかないようにそれらしき話を振られてもそれとなく逸らしてきた。
何回か逸らすと、いきなり彼は直球で来た。
「Aー、バレンタインだよー」
「そうだねぇ。バレンタインだねぇ」
ほんわかと返してみる。
誤魔化せるかな…。
「…忘れてた？」
「うん…」
正直に答えると、そっか、と言ってシュンとしたチーノ。
何か、垂れた耳が見えるのは気のせいだろうか。
どうしよう、すごく申し訳なくなってきた。
「あ」
一軒のコンビニの前で立ち止まる。
いいこと、考えた…かも。
「チーノ、コンビニ、入ろ」
「ん」
コクリと頷いたチーノの手を引いて、店に入る。
そしてお菓子コーナーに行き、板チョコを一枚買う。
チーノはもう先に暖かい飲み物を買って入口で待っていた。
「買えたん？」
「うん。行こ」
コンビニから出て、袋からさっき買ったチョコを出す。
それを半分に割り、片方をチーノに渡した。
「チーノ、これ」
「え？」
不思議そうな顔をするチーノ。
「バレンタイン。さっき買った奴で悪いけど。半分こね」
「半分こ…」
半分こ、という単語を聞いたチーノは照れたように笑って、チョコレートを受け取った。
何だか可愛い…かも。
「ありがと、A」
「うん」
「俺からも、これ」
そう言って彼がコンビニの袋から出したのは、棒状のチョコレート菓子。
「ありがとう」
「こちらこそ」
二人で笑いあって、また手を繋いで帰路につく。
君と二人で半分こ
家に帰ってから、半分こやんな、と言われて棒状のチョコレート菓子を端から食べ合うゲームを断れなかったのは秘密。
半分こと言ってしまった、自業自得だなんて知らない。
貴方は私以外と結婚できません/syp VD→←君だけの為に/sgr VD
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ビリヤニ | 作成日時：2024年1月18日 19時
